「このままでいいのだろうか」
そう感じているのは、
ご本人ではなく、周囲の方であることが多いです。
■周囲が気づくケース
中高年で未診断の知的障害の場合、
ご本人が自分で気づくよりも、
周囲の方が「もしかして」と感じるところから始まります。
違和感はあっても、
はっきりした問題として捉えられないまま、先送りになっていることがあります。
親御さんは長年の生活の中で、
「この子はこういうもの」と受け止めていることも多く、問題として認識されにくいままになっているケースもあります。
親御さんの高齢化をきっかけに、
兄弟や支援者など第三者が関わったタイミングで、初めて状況が見えてきます。
■こんな状況はありませんか
・短期離職を繰り返している
・仕事の内容がなかなか覚えられない
・同じミスを繰り返してしまう
・職場の人間関係になじめない
・お金の管理や手続きが苦手
・引きこもりの状態が続いている
こうした状態が続いているとき、背景に知的障害があるケースもあります。
■見過ごされてきた背景
子どもの頃から
「勉強が苦手だった」
「なんとなく周りと合わなかった」
そう感じながらも、ずっと普通学級で過ごし、
そのまま大人になる方もいます。
学生時代までは何とかやれていても、
社会に出ると難しさがはっきりしてきます。
仕事が続かない、同じミスを繰り返す、
対人関係でつまずく――
こうしたことが重なり、
生活そのものが不安定になっていきます。
■「8050問題」と重なるケース
親が80代、子が50代という「8050問題」は、
これまで多く取り上げられてきました。
長年、親と同居して生活が成り立っていたものの、
親の高齢化により状況が変わることがあります。
親が亡くなったり、施設に入ったことをきっかけに、それまで維持できていた生活が難しくなるケースです。
仕事が続かず、社会との関わりが薄いまま年齢を重ね、親の支えで生活してきた状態です。
こうした中で初めて医療や福祉につながり、
知的障害や発達の課題が見えてくることもあります。
■「親なきあと」をきっかけに支援につながることも
親が亡くなったあと、
一人での生活が難しくなり、生活が立ち行かなくなった方がいました。
それをきっかけに、兄弟が市役所に相談し、
知的障害の可能性を指摘されました。
医療機関で診察や検査を受け、
療育手帳の取得につながり、その後、障害年金の受給や障害福祉サービスの利用につながりました。
最終的には、グループホームで生活を始めています。
■知的障害と障害年金の関係
知的障害は20歳前からの障害として扱われるため、
原則として障害基礎年金の対象になります。
保険料の納付要件は問われません。
基礎年金には、厚生年金のような3級はありません。
障害年金の認定では、
日常生活の状況に加えて、就労への影響や支援の必要性が確認されます。
審査の際には、
・一人で生活を維持できるか
・金銭管理や手続きに支えが必要か
・仕事を続けるうえで配慮が必要か
・家族や支援者の援助がどの程度あるか
といった点が確認されます。
安定して就労し、日常生活もおおむね自立している場合は、認定が難しいこともあります。
一方で、働いていても、
支援や配慮があって生活や就労が成り立っている場合は、その状況が考慮されます。
■「もしかして」と感じたときが、最初のタイミング
「もしかして」と感じたとき、
どこから手をつければいいのか分からない、という声はよく聞きます。
知的障害の場合、
本人が自分の困りごとを言葉にすることが難しいこともあります。
・今どんな場面で困っているのか
・生活のどの部分に支えが必要か
・仕事が続かない理由はどこにあるのか
こうした点を一つずつ整理していくことが大切です。
ご家族や支援者の方が気づいた時点で、
一度立ち止まって考えてみることが、
支援につながるきっかけになることもあります。
※本記事は、当事務所のnote掲載記事と同内容です。
